2015.10.11
美しかった日本を覚えています。
だから知って欲しいのです。こんなに汚れてしまったことを。
私はそのゴミを使って、何か自分が美しいと思うものを作り出す努力をします。ただ美しいだけのオブジェではなく、もう一度人の役に立つ実用的なものに変えましょう。
— ヨーガン レール
1971年の来日以来、40余年を日本で暮らしてきたデザイナー・ヨーガン レール。2006年に天然の素材を用い、手仕事のものづくりにこだわったブランド「Babaghuri(ババグーリ)」を立ち上げ、近年は石垣島に居を構え、農耕にも精を出してきました。自然への畏敬の念を込め、一貫したものづくりと生活を送ってきた彼が「最後の仕事」として取り組んだプロジェクトが、浜辺で拾ったゴミで作られたランプシェードです。
『On the Beach 1』は、およそ6年かけ作られたランプシェードから厳選した作品約90点を収録する他に、浜辺でのゴミ採取や、制作風景の写真で構成します。またヨーガン氏の初来日から深く交流のあるクリエティブディレクターの小池一子氏に寄稿いただきました。
『On the Beach 2』は、ゴミ採取と並行して、浜辺で朽ち果てたビーチサンダルをひたすらカメラに収集した写真を標本のようにまとめました。
いよいよ使えなくなってしまったときには、土に還るものにしなければならない、と語るヨーガン氏の示唆するサインを、私たちはどのように真摯に受け止めることができるでしょうか。
ヨーガン レール(Jurgen Lehl)
1944—2014年。1971年に来日。1972年、株式会社ヨーガンレール社を設立。オリジナルのテキスタイルやジュエリー、また家具や器などの幅広いデザインを手がける。2006年、環境に配慮し、手仕事のものづくりを大事にしたブランド、Babaghuri(ババグーリ)を立ち上げる。
タイトル:ヨーガン レール On the Beach 1
執筆:ヨーガン レール、小池一子
編集・デザイン:松浦秀昭
HeHe 刊
定価:2000円(税別)
判型:A5判(210 x 148 mm)/ソフトカバー/208ページ
発行日:2015年7月
ISBN978-4-908062-10-0 C0070