2017.02.19
今、最注目の詩人・最果タヒが二人の女子大生の会話から、神戸の街をあぶりだす短篇小説。
挿入される写真は街の風景を、日常を切り取るように撮られた神戸の街を、山と海のある地方の都市の人々の営みが綴られている。写真家は松本直也。
日英バイリンガル仕様
チーズ・イン・コーベ 文:最果タヒ 写真:松本直也 Sunborn刊 定価1,200円+税
「友達なんて結局なりゆきなんだしさ、やめたからなんだって気はするんだよね。やられたらやり返せばすむことじゃん。友達をやめるとかそういうことで解決しようとするのって、要するに自分たちの関係性を人質にとるってことでしょ?それってかなり利己的じゃない?」
【中略】
「ユキって、ひどいこと言うね」
「ひどい?」
ちょっと嬉しい。
「友達をやめるとかやめないとか、そういうことが武器にできる子は、たぶん、自身があるんだよ、それだけだよ。私はそんな気にしてないし、まあ、私のこと好きなのはわかるけど、私のために怒らなくてもいいんだよ」
「・・・・・・別に、まゆちゃんのためじゃないよ」
私は最低な人らしく、彼女の言葉を嘲笑った。(チーズ・イン・コーベ より)