2017.03.11
東日本大震災に加えリーマンショックによってもたらされた意識の変化、その変化の流れは何処に向かおうとしているのか、流れの先に何が見えてくるのかを解き明かそうとする試みが綴られています。
ひとびとは、オーガニック原理主義でもなく、だからといってコンビニ弁当でもない、さらに高価な美食でもない。安心や安全は大切だが、それほど手間ひまはかけずに、ごく普通の日常生活の中で保っていけるような、シンプルでクリーンな食生活を求め、気持ちのいい暮らしに憧れている。
それは、大衆消費社会の中で成り上がり、お金持ちになろうとする「上へ、上へ」という上昇志向。と、その対局にある、大衆消費社会を蔑視し「大衆は騙されている。自分たちは違う。」と反逆をきどる「外へ、外へ」というアウトサイダー志向の対立ではなく、憧れる立派な何者かになるために自由を求めるのではなく、好きな人たちといられる人間関係を広げていく方向「横へ、横へ」に向かい、家と街がつながるように内と外を隔てないオープンな関係を築こうとしている。と著者の佐々木俊尚さんは考えます。
新たな共同体は再興されるんだろうか?
ゆっくりと考えるための本です。
そして、暮らしは共同体になる。 佐々木俊尚著 アノニマ・スタジオ刊 定価1,600円+税