2022.11.25
タバブックスから新規入荷しました。
1日が長いと感じられる日が、時々でもあるといい 小沼 理著 1,800円+税
日記を書くことは、日本で生きているゲイ男性の1人としての「アクティヴィズム」でもあった‒‒
新型コロナウイルス、東京オリンピック、元首相銃撃事件。著しい社会変化があった3度の夏、それでも生活は続いていく。
迷い、怒り、喜び、苦しみ、考え、先へ向かう、注目のフリーランスライターによる3年間の日記。
私はエラー。この感覚は今も続く。「自分がかかわると事態は必ず悪い方へ進む」というイメージも、やっぱり消えない。でも、それで構わない。身につけてきた生き抜く術に愛着をもっているから、人生をやり直したいとは思わない。そう思えるところまではたどり着いた。今は社会の構造や風潮に問題があると知っていて、変えていきたいと思う。個人的な実感から構造を問う文学や映画、音楽の存在に励まされている。ひどいニュースを見るたび、いい加減にしてくれ、と怒りたくなる。その力で、先へ向かおうとすることはできる。足取りに自信がなくても、進みたい方向ははっきりわかっている。(本文より)
フェアな関係 兼桝 綾著 1,700円+税
地元と東京、仕事とジェンダー、恋愛、セックス、結婚。この社会にいる女性たちの自我を描く兼桝綾、第一小説集。
『仕事文脈』で発表していた小説が話題、なかでも表題作「フェアな関係」は大きな反響を呼び、書き下ろし続編を加え緊急書籍化!
東京に住み、働き、さまざまな葛藤をいだく若い女性たちにぜひ読んでいただきたい小説集です。装画は『バクちゃん』『花四段といっしょ』で人気の増村十七さん。かわいくも不穏さが漂い、内容を表しています。
私は一気に喋った。セックスがしたいこと。セックスはしたいけど子どもがほしくないこと。自分の体調が悪くなるのが嫌だし、仕事の時間が奪われるのも嫌だし、そもそも子どもというものを愛せると思ったことが一度もないし、とにかく全部嫌であること。夫はサンダルの片方を持ったまま呆気にとられていたが、「そんなに嫌なのに、何で、子どもいてもいいかもねって言ったの……」と当たり前の疑問を呟いた。私はもう、今更隠し立てすることもないので、あたりも憚らず叫んだ。
「だから、有紀君に嫌がられないセックスがしたかったからに決まってるじゃん!」(「フェアな関係Ⅲ」より)
何卒よろしくお願いいたします イ・ラン/いがらしみきお 著 1,800円+税
韓国のアーティスト イ・ラン×『ぼのぼの』の漫画家いがらしみきお
世代・性別・国境を超えた、渾身の往復書簡
尊重しあう2人の作家が交わした文章に、魂が宿り、ひとつの世界が形作られる キム・ボラ『はちどり』監督
イ・ラン『私が30代になった』に、元々ファンだったいがらし氏に帯コメントを依頼して以降意気投合した2人。コロナ禍の1年にわたって交わした手紙は、神、経済、AI、哲学、社会、映画、音楽、家族、生きること、等々尽きることなく対話が広がる。本書は韓国・日本でそれぞれ出版することになり、韓国では昨年12月にメディアチャンビより刊行。日本版には、その後に2人が書いた手紙を収録。数々の苦難のなか交わされたことばは、深い思索と愛に満ち溢れ、読み手の胸に迫る。
私と、私が愛する友達にとって最も重要なことは「安全」です。それは、暴力の被害経験がある私には特に重要なイシューです。どんな人であれ、恐れることなく外に出かけられる世の中こそが、私の望む世の中です。
ーイ・ラン
苦難の中で生きている人は尊い人だと思います。誰にとって尊いのかというと、私にとってであるし、私以外の誰かにとってであるし、世界中の苦難の中で生きている人にとってです。
ーいがらしみきお
〈本文より〉
ランバーロール 05 (漫画と文学の交差点) 1,500円+税
漫画家の安永知澄、森泉岳土、おくやまゆかの3人によって創刊された、漫画と文学のリトルプレス「ランバーロール」。年を経るごとにパワーアップして、このたび5号がついに完成!
主宰3人の描き下ろし作品のほか、ながしまひろみ、石山さやか、森環、森雅之の漫画、そして『大家さんと僕』で話題になった、矢部太郎による描き下ろし作品を収録。
池田澄子による9句の新作俳句を始め、小川楓子、津川絵理子、南十二国、鴇田智哉、神野紗希、小野あらた、榮猿丸、ベテランと新鋭を織り交ぜた豪華メンバーによる、色とりどりの俳句、酉島伝法による掌編小説、シンガーソングライター青羊による心染み入るエッセイなど、読みどころ満載の176ページ。
仕事文脈 vol.21 1,000円+税
特集1:政治、日々
政治でお金が減るかもしれない
政治で仕事が楽になるかも
日々の暮らしと切り離せないのに
となりの人とはあまり話さない
知らないうちに知らないことに脅かされる
見えてきた今話したい、政治と仕事のいろいろ
清田隆之/「政治をめぐる文化そのものを変えていく」岸本聡子杉並区長インタビュー
山口智美 /安倍晋三という政治家が力を持った時代、女性や家族、性的マイノリティをめぐる政策はどう展開されたのか
政治×行動=仕事∞
私の七年とギロチン 川名潤
作ることは生きること、生きることは政治的なこと nichinichi
SNSから離れた場所で試みる土台をつくる 惣田紗希
表現の不自由と政治 「表現の不自由展」東京実行委員会岡本有佳さんインタビュー+名古屋展レポート
政治に参加する、自分の力を信じる
政治家だけじゃない 私たちだって主役であるべき 和田静香
「活動家」でない「ただの市民」でも、政治的な活動はできるとわかった 皆本夏樹
インタビュー 「投票に行かない」を選んだ人
カレーに「選挙」を持ち込んでみた/カレーセンターマエダインタビュー
特集2:勉強の入口/出口
研究、資格、学びなおし
自己啓発、セミナー、越境学習?
勉強すると、できる人になれるのか
今いる場所の外に出られるのか
日本は勉強する大人が少ないと聞くけれど
なにを学びたいのか、本当に必要なことはなにか
考えてみる勉強の入口/出口
アンケート「勉強する理由」
山本ぽてと/中国語の時間
調査 あの頃、勉強は変だった…
なぜいま読書会? みんなで読むと景色が変わる
小沼理×浪花朱音/対談 “ノー資格者”として働く
通勤ーあたらしい無職 猫も乗ります編 丹野未雪
◎ 連載
仕事回文 杉野あずさ・みりんとおさとう
虹色眼鏡 チサ
40歳、韓国でオンマになりました 木下美絵
<聞く>という仕事 辻本力
35歳からのハローワーク 太田明日香
男には簡単な仕事 ニイマリコ
無職の父と、田舎の未来について さのかずや
文脈本屋さん 雑貨と本gururi ほか
ZINE『フェミサイドは、ある』 皆本夏樹著 1,000円+税
2021年8月6日夜、小田急線車内で女子大学生が複数回刃物で刺されて重傷を負い、男女3人が切りつけられ、6人が転倒するなどしてけがをした事件が発生しました。「幸せそうな女性を殺したい」と殺意を持って女性を刃物で刺した、との容疑者の供述が報道されました。
これは「性別を理由にした女性の殺害」と定義される「フェミサイド」だ、女性であることを理由に向けられた暴力と差別をなかったことにしてはならない。そう考え、立ち上がった一人の大学生が、「フェミサイドは、ある」と言い続けた行動の記録です。
ZINE『反「女性差別カルチャー」読本』 1,000円+税
女性差別的発言、誹謗中傷、攻撃、からかいなど、SNSやメディア、リアルの生活において女性差別を「ネタ」として扱う、いうなれば「女性差別カルチャー」はなぜなくならないのか。この問題について研究、メディア、書店など多様な立場の執筆者たちがさまざまな形で考察した、読み応えある論考集です。