2015.10.04
村上春樹がはじめて本格的に、自身の小説の現場と、それを支える文学への、世界への考えをめぐって語り尽くした、読者待望の一冊。
世界的に高い知名度を誇りながら、これまで多く神秘のベールに包まれてきた〈作家・村上春樹〉のなりたちを、全12章のバラエティ豊かな構成で、自伝的な挿話も存分に盛り込みつつ、味わい深いユーモアとともに解き明かしていく。
芥川賞、ノーベル賞など、時に作家の周辺をいたずらに騒がせてきた「文学賞」の存在について、彼自身はどう考えているか。なぜ、どのような形で、ある時から日本を出て、いかなる試行錯誤と悪戦苦闘を経ながら、世界へ向かう道を歩みはじめたのか。〈3.11〉を経たこの国のどこに、問題があると見ているのか。そもそもなぜ、彼は小説家という不思議な職業を選び、以来、40年近くの長きにわたり、衰えぬ創造力で書き続けているのか―
それらすべての問いに対する、村上春樹の誠実で力強い思考の軌跡が、ここにある。
職業としての小説家 村上春樹著 スイッチ・パブリッシング刊
四六判 320頁 1,800円(本体)